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お墓の価値をめぐる裁判 | 相続財産に含む含まない | 墓地 お布施 生命保険 どっち?

天気の良い日は、いよいよ暑くなって、スーツが厳しくなってきたehokenです。



家督相続』という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

家の“戸主”が亡くなったとき、全財産を次の戸主に相続することです。1947年に民放が改正されるまで、遺産相続と共に認められていました。

昔は日本で一般的な相続であり、今でもこの考えを残すところはあります。

『代償分割』に似たイメージですが、、、(“代償分割”も本来は説明する必要ありますよね。。。)、、、少し違っているところもあります。

法的に認められなくなったからといって、まったく影も形もなくなっているのか、、、というと、まったくそんなことはなく、、、そのために“ねじれ”が生じてしまう可能性がある、というのも事実なのです。

さて、、、まずは、、、、このブログに来た人にとっては、もしかしたら簡単かもしれない問題から、、、

『生命保険』で、お金を受け取った場合、これは相続遺産として合算するものなのでしょうか?

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たとえば、生命保険の受取人に指定されていて、被保険者が死亡したため口座に500万円が振り込まれました。後日、相続人たちにこのことを伝えて、遺産分割の対象として、他の相続財産に合算すべきでしょうか、、、。せっかく受け取った500万円は、減ってしまうのでしょうか、、、。

もしくは、相続放棄したら、振り込まれた500万円を国税などに渡して、受け取れなくなるでしょうか?

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おそらく、想像されていると思いますが、答えは“否”です。

受け取った保険金は、受け取った人の固有の財産として保護されます。

つまり、相続した財産ではないのです。。。ただし、、、「みなし相続財産」として課税されたりするのは疑問だったりするのですが、、、、。

なので、遺産分割の対象として、他の相続人に一部を渡さなくてはならないといった必要はありませんし、相続放棄しても、保険金は受け取れます。

実は、この辺は、我々コンサルタントの間でも、時々話題に上るので、知っている人も多いです。

では、次のケースは、どうでしょうか?

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お墓や、墓石などは、相続財産でしょうか?

葬儀の際のご霊前などは、相続財産でしょうか?収入でしょうか?

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一般に、お墓や墓石は、次代の家長が引き継ぎます。この辺りは家督制度の名残が色濃く残っているわけです。

このため、お墓については、祖先の祭祀を主宰すべき者(≒次代の家長)が(無償で)引き継ぐという判例があります。

また、これを保護するためにも、墓地や墓石は、相続財産から除かれます。
お布施として受け取った金品も、喪主の固有財産として、相続財産から除かれます。

喪主≒家長のケースは多く、現代でも家長はこうした点で優遇されているのです。

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これまで、こうしたことで、問題は発生していなかったのですが、、、

家督制度が崩壊し始めた現代では、問題が起こり始めているようです。

ある墓地管理者からのお話しで、、、

「墓地を被相続人から引き継ぐので、それは相続財産としてそれ相応の価値をもつと考える。ついては、平等に相続財産を分けたいため、墓地の資産価値を算出し、その証明を提出してほしい」

といった旨の要求があったのだそうだ。

確かに、新たに檀家になり、お墓を作るには、結構な費用がかかります。しかし、家長というだけで、先祖からのお墓があるため、“タダ”でお墓に入れる。家長以外が、これに不平等感を感じるのは確かに納得のいくことです。

しかし、祭祀を引き継ぐということは、継続的に墓地を護るために、お参りをしたり、檀家としての寄付なども必要になり、手間も費用もかかる、、、。家長だからこそ、これを義務として“無償”で行えたわけです。

さて、、、お墓が、どのような価値になったのか、、、、路線価に基づく地代?檀家になるための永代供養費用(再調達価格)?祭祀の継承と相殺?、、、残念ながら(と言っては当事者に失礼ですが)、和解による解決であろうためなのか、私の検索能力が不足なのか、適した判例は見つかっていません。

おそらく、一般的には、お墓は相続財産に含めないが、その先の祭祀などの費用を負担しなくてはならないため、家長以外はとりあえず口出しするのをやめる、、、というところに、多くの相続は、落ち着くのではないでしょうか、、、。

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『お墓の資産価値』という話題は、、、はなはだ不謹慎ではございますが、とても新鮮で、今後の日本において、大きな問題になってくることの萌芽のように感じました。